政略結婚~天使に導かれて~
「颯太が亡くなってから、暫くは光太と二人で、何もせずにいたけど
 このままでは、光太にも良くないと思い始めて、仕事がしたいと、
 島津の両親に、お願いしたら、島津製鉄なら、誰も私を知らないから
 良いだろうって・・・・
 西園寺も島津建設も、両方とも私の素性は解るから、なるべくなら
 普通の社員として、働きたかったし、皆とも普通の付き合いが
 したかったのよ・・・・・
 ごめんね・・・・どうしても本当の事は、言えなくって・・・・・」

「そうだったの・・・・仕方がないわよ・・・・事情が事情だし・・・」

里香が、そう答えると

「本当、愛は、仕事も育児も頑張っていたし、そう言う事情なら仕方
 ないよ・・・・」

「皆・・・・ありがとう・・・・」

「この別荘は、颯太の病気が解ってからずっと、颯太が亡くなった後も、
 暫く住んでいたのよ・・・・。
 颯太を失った時は、本当に辛かった・・・・。
 でも、そんな私達の側に、いつも悠太が居てくれて、本当に感謝
 しているの・・・。」

「愛・・・・・・」今日子が切なそうに呟いた。

「あの時の愛は、光太の事も、眼中になかったよな・・・・」

悠太が、あの時の想いを口にした。

「そんなにひどかったんですか?」

和哉が、聞いてくると

「うん、愛は、兄が亡くなったその日に、自殺未遂を起こしたんだよ。
 そのせいで、暫く入院していたし、葬儀にも出れなかった。」

「「「「・・・・・・・・・」」」」

四人は、悠太の話を聞いて、呆然としていた。
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