政略結婚~天使に導かれて~
「自殺・・・って・・・」

新太郎が聞くと

「うん、颯太の後を追いかけなくちゃ!・・・それしか思わなかったの
 酷い母親でしょ!?
 でも、その時、悠太に助けられ、そして叱られたの・・・・
 光太は、父親だけじゃなくて、母親も失ったら、どうやって生きていくんだ
 って、叱られたのよ・・・・」

「そうだったな・・・・・あの時は、本当に焦ったよ。
 親父達も兄さんの死にショックを受けていて、茫然としているから
 葬儀の段取りから全て、僕がしなくちゃならなくて、その合間に
 愛の事が気になって、愛を見に行くと、愛が居なくなっいて、
 慌てて捜しに出たんだけど・・・結局、海にいて・・・・・
 あの時は、本当に心臓が止まるかと思った・・・・」

「そうだったんですか・・・・・で、二人は、結局のところ、
 結婚するんですね!?」

今日子が聞くと

「あぁー、休み明けに、手続きを取る予定だよ。
 何せ、僕の方が、本当は、兄より先に出会っていたんだからね!」

「えっ、そうなんですか?」

何故か、里香が、目をハートにして、その話に食いついて来た。

「里香、止めなさい! あんた、人の恋バナを聞いても
 仕方ないでしょ!?」

「えぇー、だって・・・・・。愛ちゃんの話は、なんかドラマみたいじゃ
 ない? ねぇー、和哉君もそう思うでしょ?」

「えっ、何で、俺に振るかな!?・・・・」

「まぁー、僕は、兄と愛の二人を見ていて、人は、いつ命が無くなるか
 解らない・・・。
 兄は、病気だったけど、事故で亡くなる人もいる。
 人間の明日は、保障されているわけじゃない・・・。
 そう思ったら、自分が今、一緒にいて幸せだと思える人と一緒に
 いたいと思うから、たとえ反対されても、愛と一緒にいたい。
 そう心から願ったんだよ・・・・。
 人間、死ぬときには、出来たら愛する人から看取られたいと思うよ」

悠太の話を聞いて、四人は黙ってしまった。
< 216 / 225 >

この作品をシェア

pagetop