政略結婚~天使に導かれて~
一方、栞は、颯太からの別れから、何もする気になれずにいた。

毎日、毎日、ただ茫然と過ごし、会社は、別れを告げられた翌日から
体調不良で休んでいた。

「颯太・・・・・なんで・・・・」

いつまでも、颯太との別れに、納得できずに、心は颯太の事ばかり
考えており、栞は、日々、自分から颯太が離れて行ったのは、愛が
居なければ、自分はいつまでも颯太と居られたのに・・・・

そう思うようになっていった。

会社を休み始めた土曜日、玄関のチャイムが鳴った。

「はい・・・」

「望月さん、私よ。相楽よ」

「博美さん・・・・」

栞は、玄関を開け、博美を部屋に通した。

「栞、あなた、カーテンくらい開けなさい!」

博美は、部屋に入ると、締め切ったままのカーテンを開け、床に
散乱しているゴミや、ビールの空き缶やらを片付け始めた。

「博美さん・・・・ほっといてください・・・・」

「そんな訳に行かないでしょ!この部屋、人の住む部屋じゃないでしょ!」

博美が、栞を叱りながら、部屋を片付けていく。

そんな博美を、栞は、ただ眺めているだけだった・・・。
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