政略結婚~天使に導かれて~
「ただいま、まなみ・・・・・・・」

「何で、栞がここにいる?」

「颯太さん、愛が・・・・愛が、早く救急車を・・・・」

「愛! おい愛!しっかりしてくれ!愛!」

そんな颯太に、栞は

「颯太、これで邪魔者はいなくなったのよ。ねぇー颯太、これで
 颯太は、私の元に帰って来てくれるでしょ! ねぇー颯太・・・」

栞は、颯太にそう言いながら、颯太に抱きつこうとしたが

「栞、何やってんだ!お前は・・・・。
 栞、良く聞いてくれ。俺は、もし愛が居なくても、栞とは別れていた。
 俺は、栞とは一緒にはいられないんだ。」

その言葉を聞き、呆然とする栞を余所に、颯太は、すぐに救急車の手配をし、
会長の孝三にも連絡をした。

連絡を受けた孝三は、すぐに駆けつけ、栞を拘束し、颯太は愛と
一緒に病院へ向かった。

楓も、一旦、家に帰り、愛の血の付いた服を着替えて、すぐに
愛の運ばれた病院に向かった。

ガラガラガラ・・・・・

「先生、愛は、愛は大丈夫なんでしょうか?先生・・・・」

「大丈夫です。任せてください・」

そう医師は、颯太に告げ、処置室へ入って行った。

そして、楓もすぐに病院へ駆けつけ

「颯太さん、愛の容態は?」

「解らない。今はまだ処置室にいて、状況が解らないんだ・・・・」

「あのう・・・愛を刺した彼女は?・・・・」

「彼女は、僕が付き合っていた女性だ。でも、やっと別れて、これから
 愛と一緒に生きて行こうと決めたのに・・・・・・」

「颯太さん、愛は、妊娠しているんです・・・」

楓の告白に、颯太は呆然とした。
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