恋人たちのパンドラ【完】
「おい、お前一体なにやってるんだ!」
階段の上から壮介が駆け下りて来た。
美咲の表情が一気に青ざめる。
「―――専務。これは・・・」
美咲は言い訳しようと口を開くが、壮介は美咲を一度も見ることなく悠里に駆け寄った。
「大丈夫か?立てるか?」
そう言って悠里の両肩を抱いて立ちあがらせた。
そうしてやっと、
「説明はいらない。首になりたくなかったら、二度と俺に話しかけるな。すぐここから立ち去れ」
背中からは怒気という怒気があふれかえっているように美咲は感じた。
そして、震える足で何とか立ち去り非常階段を後にした。
「すまない悠里。大丈夫か?」
そう言って、立ち上がらせた悠里の顔を覗き込む。
悠里は壮介に気づかれないように先ほど踏まれた手を反対の手で隠したが、壮介は素早くそれを察知し
悠里の手の傷を見ていた。
「ひどいな、医務室に・・・」
不意に壮介の言葉が詰まる。