恋人たちのパンドラ【完】
「お前の趣味探ろうと思ったのに、保育に関する本ばっかりだな」

そういて苦笑する。

「うん。学校のレポートで使うの。ずっと図書館で借りてたんだけど延長するの面倒になって」

「将来の夢はやっぱり保育士?」

「うん。なれたら嬉しいな」

うれしそうに言う悠里を見て壮介も一緒に微笑んだ。

「壮介に宣言したら、なれる気がしてきた」

満面の笑みを浮かべる悠里に壮介はまぶしそうに目を細めた。

「そんなに子供好き?」

壮介がコーヒーの入ったカップを持ち上げ、一口飲んだ。

「うん。だからボランティアも苦にならないし、むしろ色々勉強になるよ。私身近に小さな子いないから」

悠里の家庭は母子家庭で離婚をきっかけに親戚からも疎遠になってる。

母は看護師で一日中働いているが、参観日などの行事は無理をしても参加してくれていたし、家事など女性として必要なスキルはきちんと母が教えてくれた。

そんな母の姿を見て、自分も何か手に職をもちずっと続けられる仕事として選んだのが保育士だった。
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