恋人たちのパンドラ【完】
そして、花束を押しつけて来た時の久しぶりに見た壮介の一見怒っているようにも見える恥ずかしそうな顔を思い出して、胸がキュンとなり自然に笑顔がこぼれた。

壮介のくれた甘い胸のときめきを感じると同時に9年前に自分の軽率な判断で自分をはじめ壮介を深く傷つけることになったことを今さらながら激しく後悔し、涙があふれた。

一度あふれ出した後悔の涙は嗚咽を漏らすほどになり、壮介のくれたアナベルたちがその涙を必死にうけとめてくれていた。

(あの時、もっと早くに私がちゃんとしていれば・・・)

そうすれば、なんの迷いもなく壮介の腕の中にいられたのに。

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