恋人たちのパンドラ【完】
「ま、まさかそんな。悠里は医者に子供は無理だって・・・」

「間違いなく俺の子です。だからどうか悠里の居場所を、心当たりを教えてください」

壮介は仁の足に縋りつくかのように土下座をした。

口の中にはさっき殴られたときにできた傷からシミ出た血で鉄の味がしていた。

しばらくの間沈黙が続いた。

どこからか、機械のモータ音だけが無機質に響く。
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