恋人たちのパンドラ【完】
悠里は、壮介のその視線にいたたまれずうつむいた。

（自分が悪いんだからどんな態度とられても仕方ない・・・）

心でそう言い聞かせてみるが、感情はそう簡単に抑えられない。

うつむいて、目尻からこぼれ落ちそうな涙をこらえた。

彼の怒りが、９年たった今なお収まっていないことを、この数分間で十分に感じ取れた悠里は、自分が彼をどれだけ傷つけたのか再認識せざるを得なかった。


「申し訳ありません。少し体調が悪いので本日の打ち合わせは後日に延期をお願いします」
そう一気にまくし立てて悠里はソファから立ち上がった。

「そうやって、仕事でも逃げるのか」

どこまでも冷たい態度の壮介に

「誠に申し訳ございません。担当は後日改めて別のものへと変更させていただきます」

そう言い残して、壮介の前から逃げるように部屋をあとにした。
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