恋人たちのパンドラ【完】

＊＊＊

「―――永、徳永！聞いてるのか？」

課長の声で我に返る。


「すいません。もう一度お願いします」


昨日のことを思い出していた悠里は目の前の課長の声すら、耳に届いていなかった。

「しっかりしてくれよ。昨日のリベンジ明日だからな？今度こそは体調を万全にしておけよ」

手元の資料を整えながら課長がそう言った。
「あの、私がですか？」

そう聞く悠里に


「え？他に誰がいるの？三国の担当はお前だろ？先方が明日の午後で再度仕切り直しだって言って来てるから、今度こそはしっかりしてくれ」

そう言ってこの話はもうおしまいだと、パソコンに向かって自分の仕事を始めた。