恋人たちのパンドラ【完】
「町田は若いですが、社長賞をもらうほど能力は長けています。本来ならば私よりもこの案件にふさわしい人材なんです。ですので三国さんにご迷惑をかけないためにも今回は私と共にこの案件に関わってもらおうと思っています。我が社の都合ですので、三国さんはお気になさらずに。もちろん担当は私ですので、ご連絡も私に頂いて結構です」

正直一人で壮介の百貨店で仕事をミスせずに進める自信がなかった、社会人としてはどうかと思うが、失敗するよりはましだ。

実際のところ直樹の存在が今日の商談をスムーズに進められた要因であることは間違いない。

悠里の言葉に一層壮介は眉間のしわを深めたが、悠里は気がつかないふりをした。

広げていた資料を急いでカバンにしまうと、挨拶をして会議室を後にしてエレベーターに乗り込んだ。

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