恋人たちのパンドラ【完】
打ち合わせもも終了し、悠里たちが資料の片付けを始めたころ、壮介が長い脚を組み替えながら

「――それから、今後は徳永さん一人でこちらの案件はお願いします。窓口がいくつもあるとこちらも面倒なので。YAMATOさんもお忙しいでしょうに」

直樹に貼り付けたような笑顔で言う。

「そうですか、しかし今回我が社はこの催事に今季の新作販売の大きな足がかりにしたいと思っています。徳永一人ではなかなか細かいところまで行き届かないでしょう。私も微力ながらフォローさせてもらいます」

直樹がそう返すと、二人の間に一瞬火花が散ったように見えた。

なんとなく不穏な空気が流れたその場に悠里の言葉が放たれた。



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