恋人たちのパンドラ【完】
***
三国から駅に向かって、直樹と歩いている悠里は心ここにあらずだった。
商談はうまく運んだので、理由は壮介だろうと直樹は勘付いていた。
「徳永さん、碓井専務とは知り合いなんですか?なんだかあんまり良い雰囲気ではないかんじでしたけど」
努めて明るく直樹が聞く。
「う・・ん。やっぱりばれちゃったよね。昔の知り合いなんだ。雰囲気が悪かったのは、昨日私が打合せキャンセルしたからだと思うよ」
笑顔で返しているつもりだが、うまく笑えていないのが自分でもわかる。壮介のことになると、すべてがうまくいかない。そういつだって。9年前も今も。
そんな悠里を見て直樹はそれ以上なにも聞かなかった。おそらく昔お互い他人に言えない何かがあったことだけは理解した。
三国から駅に向かって、直樹と歩いている悠里は心ここにあらずだった。
商談はうまく運んだので、理由は壮介だろうと直樹は勘付いていた。
「徳永さん、碓井専務とは知り合いなんですか?なんだかあんまり良い雰囲気ではないかんじでしたけど」
努めて明るく直樹が聞く。
「う・・ん。やっぱりばれちゃったよね。昔の知り合いなんだ。雰囲気が悪かったのは、昨日私が打合せキャンセルしたからだと思うよ」
笑顔で返しているつもりだが、うまく笑えていないのが自分でもわかる。壮介のことになると、すべてがうまくいかない。そういつだって。9年前も今も。
そんな悠里を見て直樹はそれ以上なにも聞かなかった。おそらく昔お互い他人に言えない何かがあったことだけは理解した。