かえるのおじさま
ごろりと大きく切った芋を甘じょっぱく煮付けたもの。
青菜をシンプルに茹でたものは和え衣を絡ませてある。
野菜炒めは三色のピーマンで彩りを加え、調味料の香りを含んで上る湯気が食欲中枢を揺さぶった。

一箸を口に含めば、少し濃い目の味付け。
それは一気に味覚を開き、刺激された胃袋が次の一箸を欲する。

蛙頭の女店主に別れを告げるころには、胃袋も、心も満たされた気分であった。

「次は、どこに行こうか」

「ちょっとした洋服を。日常着だから、普通のが欲しいの」

ギャロが旅座仲間に頼んでお下がりを集めてくれたが、使わなくなった舞台衣装の類が多い。

おまけに少々サイズ違いであり、作業の時にはだぼつく袖や裾が邪魔になるのだから、きちんとした日常着が欲しいと美也子は思っていた。

「日常着、か。まあ、街場みたいにそろっているわけじゃないがな、衣料品店がある。行こう」

ギャロはごく当たり前のように、美也子の手をとった。
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