かえるのおじさま
ひどく慣れた手つきだ。

力を入れるのではなく、どこを押さえれば振りほどかれないかを良く心得ている。
絡むような指の加減はとても心地よい。

(私は……)

この蛙頭の男が好きだ。
だから指先だけでも絡まるこの行為が好きなのだが、彼は?

彼の過去の物語はまだ序盤。
家庭の事情で『売られた』ことしか知らない。

それが彼を深く傷つけたであろうことは容易に想像がつく。

だが、その傷が癒されたのかまでは、まだ読み進んでいない。

傷つけられた愛情を癒すのは、愛情だろう。

彼は出会っているのだろうか、つないだだけで優しさと寂しさが伝わるこの指先の動きを教えてくれた相手に……

農道を並んで歩く美也子は少し俯きがちになって、彼に尋ねた。

「随分、女慣れしてるのね」

「ああ? あ!」

つないだ手を振りほどいて、ギャロが喉を膨らます。
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