かえるのおじさま
蛙頭の少女はきゅうっとしたまぶたを引き上げて、ギャロの顔を見上げる。

「おじちゃん、お父さんを知っているの?」

「ああ。ちょっとだけだがな」

あんなに小さな時分別れた弟だ。
兄が居たことを覚えているかすら怪しい、とギャロは思う。

ならば、この少女に伯父だと名乗ることさえ憚られる。
だから小さな声で、ギャロは聞く。

「父ちゃんは元気か?」

「うん。今日も野良に行ってるよ」

「そうか、元気ならいい」

あまり離れていない遠さで、子供たちの声が聞こえた。

少女がぴょこんと飛び上がる。

「あ、かくれんぼしてたんだ。またね」

「ああ、またな」

また、などないことは解っている。
それでも気さくに手を振る蛙頭に、美也子の胸が小さく痛む。

だから、本当に本能的な叫びだったのだ。

「待って!」

背中を向けようとしていた少女が驚いて振り向く。
それはギャロをも振り向かせた。

(そっくり)

大小の蛙頭。
大きな目玉をくりっと見開いた表情も、肩を斜めに構えた角度まで……それは二人の血縁を感じさせて微笑ましい。
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