かえるのおじさま
美也子は近くに座っていた猫頭の娘に尋ねる。

「ギャロはどこへ?」

「頭を冷やしに行ったんだろう。大雨の時には良くあることさ」

雨が降ると気分が高揚するのは、濡肌種の特性だ。
仕方が無い。

だが、その『仕方が無い』でもめごとなど起こしてはよろしく無いだろうと、そう考えてギャロは特に大雨の時を一人で過ごすのだと言う。

「一人でって、どこへ?」

「さあね。そこらで雨に打たれているんだろうよ」

いくら外見が蛙に似ていようとも、彼は蛙ではない。
濡肌種というれっきとした『人間』なのだ。

心もあるし、孤独だって知っている。
ましてや母を亡くしたことを知った今夜、雨に打たれて何を思うのだろう。
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