かえるのおじさま
貪欲なほどに純粋な想い。

彼の傍に、今よりも近くに行きたいだけなのに、それを願えば肉体的な交わりを抜きには出来ない。

当然だ。
二人ともいい年をした大人なのだから。

それが悲しくて、美也子はビーズの小箱をそっけなく押しやる。

「手伝って」

「ああ」

のそり、と箱に手を伸ばしかけて、ギャロがぽそりとつぶやいた。

「雨が近いな」

確かに耳を澄ませば、遠くでごろごろと擦り合わせるような雷の音。

「なあに、通り雨だ。お前はここで作業をしてろ」

すいっと立ち上がったギャロは、そのまま馬車を出て行った。
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