可愛い生徒(カノジョ)の育て方
 それまで黙って聞いていたお父さんが、口を開く。

「しかし先生。菫もそんなにバイトできないかも知れませんよ。それに、何かあった時、帰省するだけでもお金がかかる。
 一人暮らしを始めるには、敷金・礼金・電化製品や家具も揃えなくちゃなりません。
 そもそもなぜ、F女子でも勉強できるのに、R大学まで行かなきゃならんのですか?」


 お父さんのその言葉を聞いた安西が、肩をぴくりと震わせた。
 
 掌は、膝の上で固く握っている。

 その横顔は、今にも泣きだしそうだった。
 
 ……金銭面、確かに最初はかかるものだ。

 痛いところを突いてきた。

 だが、最終手段として奨学金という手も……。

 安西個人に借金を背負わすことになるので、できれば言いたくなかったが……。

 そこに、キッチンから出てきたお姉さんが助け船を出してくれた。


「お父さん、まとまったお金が必要だと言いたいの? それなら心配いらないわよ、ね、お母さん?」
< 182 / 282 >

この作品をシェア

pagetop