ぱんつのおかず


だってセッチの真っすぐな気持ちなんか聞いてもたら、




「…こふじ。おれと、付き合うて」




もうこれ以上、誤魔化したり逃げたり、できへんやんか。




「あ…あは、な…にを、言うて…」

「…こういうの、ちゃんと伝えたことなかったやん」



セッチの黒い髪が、夏のぬるい夕風に、わずかに揺れる。



「おれは、お前が好きや。おさななじみやなくて、彼氏彼女がええ」



その髪の下にある瞳は、オレンジに染まっとって。


その中に映り込むウチも、全部、オレンジで。



「…跳べたご褒美。お前の、彼氏にしてや」

「………っ、」



つかまえられてる手。


それと違う方、もうかたっぽの手ぇも、ギュッて握られて、向かい合わせんなる。


目の前にあるんは、めっちゃ一生懸命な顔。



めっちゃ、ほんま、好きやって。


伝えてくれとる顔で。


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