お見合い
「君のそんな姿を見たら、俺があいつらに怒られるな」
「・・・たぶん」

そう言った私を彼は笑った。
私も笑った。
心から笑えた。
それは、久しぶりに感じたことで、あの二人以外の人と一緒に心から笑えたことは少ない。
だから本当に久しぶり。

「庭に出ようか」
「はい」

足を踏み入れたそのお庭は、本当に素敵だった。
バラのアーチの奥には小さな噴水があって、緑の世界に咲く花はどれも輝いて見えた。

「すごいすごい」
「不思議の国のアリスの世界だな」
「秘密の花園っぽくもあります」
「ぁあ、確かに」
「・・・あの、さっきのこと言わないで下さい。その、私がふられるって話」
「・・・うん。言わない」
「有難うございます」
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