水没ワンダーランド
少女が悲痛な声で叫ぶ。
悲しさに眉を歪めたと思えば、すぐにニッコリと朗らかに笑う。
喜怒哀楽が激しい、というよりは
彼女自身がすでに狂ってしまっているようだった。
「なら次の子猫さんは」
アハハ、と少女が笑う。
笑う、
笑う。
「首輪を繋いで四肢を切り取ってしまいましょう」
声だけならば、幼い少女の愛くるしい笑い声なのだが。
べとつくような凄まじい血の匂いが少女を纏い離れない。
もうずっと、ずいぶん前から
大量の血を浴びてきたかのように。
「わたしのか・わ・い・いリトルリリィ……」
そこで、少女が口ずさんでいた歌がピタリと止まる。
「え……?」
少女が、誰もいない部屋をキョロキョロと見回す。