あの日、言いたかったこと。

「お前はいつもそうだよ。
何かあるとすぐ隠す。
俺達にすら話してくれなかった」

「心配してくれてどうも」

「……一番心配してたのは光輝だよ」


その言葉を聞いて、俺は思わず動きを止めた。


「……アイツは心配性だったからな」

「…………………」

「でも……アイツ以上に心配性だった人がもう一人」


……光輝以上に……心配性だった人。

……思い当たる人が一人いる。


「……もうすぐだよな。
……おばさんの命日」


……忘れるわけがない。

あの日……俺がどれだけの衝撃を受けたか。


昔からまるで本当の息子のように可愛がってくれたおばさん。

そんなおばさんは俺にとって大切な人だった。


「……なぁ、日向」


……悠斗が静かに口を開いた。


「……もうやめようぜ。
逃げるのは……もうやめよう」