あの日、言いたかったこと。
「ははっ、そうだったね。
ごめんな、杏ちゃん。
それとこっちもお願い」
「て、店長……重いです……」
「頑張ってねー」
店長は笑いながらそう言って店内へと戻っていった。
杏は大量のゴミ袋を頑張って持ち運ぼうとしていた。
その時、杏が道端で立ちつくしている俺達に気がついた。
「あれ?
ヒナ君にユウ君。
今帰り?」
杏は笑顔でそう聞いてきた。
でも、俺達はそれどころじゃなかった。
「……ん?
二人ともどうしたの?
そんな驚いた顔しちゃって」
杏は小さく首を傾げた。
でも……
「……杏奈」
「っ…………!」
俺がそう口にした途端……手に持っていたゴミ袋をまるで力が抜けたようにストンと下に落とした……。