社内恋愛のススメ
キィーーー………
先に歩いていた長友くんが、会議室のドアを開ける。
会議室のドアを開けた途端に、不機嫌そうな部長の声。
部長の怒声が、容赦なく降り注ぐ。
「こら、長友!有沢!お前らは、ここまで来るのに何分かかってんだ!!」
企画部のフロアから、この会議室まではそれほど離れていない。
同じ階にあるのだから、それは当たり前のことなのだけれど。
徒歩1分もかからないここに来るまで、こんなにも時間がかかったことに部長は大層ご立腹らしい。
部長の文句は、長友くんにまで及んでいる。
長友くんは、別に悪くないのに。
ぼんやりしていた私を、迎えに来てくれただけなのに。
「遅れてすいません、部長。」
だけど、長友くんは、理由なんて何も言わずに謝った。
何も悪くないのに、部長に頭を下げていた。
「も、申し訳………ありません!」
長友くんだけ、悪者にしたくない。
何も悪くない長友くんにだけ、頭を下げさせる訳にはいかない。
私達2人が頭を下げたせいで、気が静まったのだろうか。
それとも、忙しいからなのだろうか。
「まぁ、いい。とりあえず、空いてる席に座れ。」
私達の謝罪は軽く流され、部長は早速本題を切り出す。
部長の口が開くのとほぼ同時に、私と長友くんは空いてる端の席に腰を下ろした。