社内恋愛のススメ
「さて、もう分かっているとは思うが、例のプロジェクトのことだ。」
部長の言葉が始まってすぐ、企画部のみんなが納得した様に頷く。
みんな、分かってたんだ。
部長の話が、何であるかを。
部長の話の内容を察していたのだ。
部長の言葉を引き継ぎ、上条さんが口を開く。
「概要はみんなも知っている通りだが、確認の意味も含めて、もう1度改めて説明しよう。」
上条さんの淡白な声が、会議室に凛と響く。
手元の資料を見ながら、みんなが上条さんの言葉に聞き入った。
今回のプロジェクト。
それは、年末商戦に向けての総合的なプロジェクトだ。
依頼主は、老舗デパート。
誰もが知っている様な、有名デパートからの依頼だった。
ここ数年の不況で、デパート業界の売り上げは下がる一方。
それは、老舗デパートであっても同じこと。
老舗という看板だけでは、商品は売れない。
信頼だけで物が売れる時代は、終わったのだ。
そんな今だからこそ、差別化を図りたい。
ターゲットは、年末。
クリスマスとお正月という、2大イベントが待つ、小売り業界の掻き入れ時。
最も売り上げが伸びる時期でもある、この時期に店内を改装する。
内装を新しくして、テナントも初出店のブランドを招いて。
新しい店で、年末を迎える。
年末商戦を盛り上げる。
改装を含めた年末商戦を総合的にプロデュースするのが、今回のプロジェクトなのだ。
うちの会社は、商社とは言っても何でもやる会社。
専門的な部署をいくつも持ち、どんなことでもチャレンジ出来る会社。
だからこそ、プロデュースを一手に担うことになったのだ。