社内恋愛のススメ



「まぁ、長友なら大丈夫か………。お前に任せるぞ。」


長友くんなら、大丈夫。

部長は笑顔でそう言って、長友くんの立候補を受け入れた。



(長友くんがやるんだ………!)


新しいプロジェクト。

うちの企画部が今、1番重要視しているプロジェクトを、長友くんが担当するんだ。



素直に、そのことを嬉しいと思う自分がいる。


悔しいだなんて、思えない。

まるで、自分のことみたいに喜んでる。



だって、長友くんは、私の同期。

しかも、同い年だ。


ずっと机を並べて、仕事をしてきた。

一緒に走ってきた。


何かと共通点が多い長友くんを、応援したくもなる。



良かったね。

良かったね、長友くん。


お祝いの言葉をかけようとした時、私は明らかな違和感を感じた。






フワッと、体が宙に浮く感覚。

力を入れずとも、自然に浮く体。


肌に感じた体温。

温かくて優しい、誰かの体温。



浮いたかの様に思えたのは、ほんの数秒間。


犯人は、真横にいる長友くんだった。



「な、な、な…………何!?」


長友くんが、私の体を持ち上げている。

立とうとしていない私の体を、無理矢理持ち上げているではないか。


そっと、私を下ろす長友くん。

長友くんによって、何故か立たされる羽目になった私。



あの宙に浮く感覚は、長友くんが起こした錯覚。


驚く私に、素知らぬ顔の長友くん。

長友くんが、ニヤッと笑う。



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