社内恋愛のススメ



(は、恥ずかし過ぎる………。)


林檎みたいに赤く染まる頬。

真っ赤に染まる頬は、自分で抑えられるはずもない。



あぁ、何たる失態。

こんなはずじゃなかった。


長友くんを見つけたら、それとなく席に座ろうと思ってたのに。



いつも通りに、自分のデスクに。

長友くんの隣に座ろうと、そう思ってたのに。


照れ隠しで、ついトゲのある言葉で応戦してしまう。



「う、うるさい!長友くんの方こそ、ずっと観察してるなんて、悪趣味じゃない?」


可愛くない。

最高に可愛くない。


長友くんのことが好きだ。

そう自覚しても、この態度は変えられないらしい。



可愛い言葉も口に出せない。

女らしくもない。


それが、私なのだ。



化粧で見かけを誤魔化していても、中身は枯れたまま。

女らしさの欠片もない。


長友くんも長友くんで、私をからかうことを止めようとしなかった。



「別に、たまたま通りかかっただけだし。俺、お前みたいに暇人じゃないから。」


フフンと、鼻で笑いやがった。



憎たらしい男。

本当に、憎たらしい男だ。


思いきり、この男の頭を小突いてやりたい。



手を上げそうになる私に、即座に反応する長友くん。


私の思考を読んでいるらしい長友くんが、鋭い視線を私に投げかけた。



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