社内恋愛のススメ



私は、そんなのは嫌だ。



長友くんの隣にいられなくなるなんて、考えられない。


叶わなくていい。

届かないのも、分かってる。


だったら、せめて普通でいたい。



同僚として。

同期として。


今まで通りに、長友くんの隣で仕事をしたい。

長友くんの隣で笑っていたい。



長友くんの隣を歩く、誰かを見ても。

その光景を見せられたとしても、この場所は守りたい。


そうすることしか、私には出来ないのだから。





(上条さんと別れて、やっと次に踏み出せたと思ったのに………な。)


憧れていた人と、やっと付き合えて。

でも、捨てられて。


悲しみに暮れていた私が、再び落ちてしまった恋。



それは、同じ様な恋だった。



好きな人には、他に想う人がいる。

結婚したいと思うほど、好きな相手がいる。


私ではない人を、長友くんは見てるんだ。



次の恋も、報われないなんてね。


私の恋愛運って、きっと最悪。

0に近いのかもしれない。



切ないよ。

苦しいよ。


長友くんを好きになることが、こんなにもつらいことだったなんて。







主のいないデスクを、ぼんやりと眺める私。


そんな私を熱く見つめる眼差しがあることに、私はまだ気が付かない。



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