社内恋愛のススメ



でも、そんな自分も嫌いじゃない。

悪いことではないはず。


以前よりも、仕事に張り合いが出る様になった。



それは、見られているかもしれないと、意識しているせいだろうか?

それとも、あの人がいるからと、張り切っているせいだろうか?


成長した自分を見てもらいたい。

4年前とは違うした自分を、上条さんに知って欲しい。


そう思えば思うほど、いろんなことに気合いが入る。

頑張ろうと思える。


見られるかもしれないと、あんなに面倒だと思っていた身だしなみさえ、整える気にもなるのだ。



「こんな感じでいいかな?」


ダマにならない様に、丁寧に塗ったマスカラ。

睫毛の1本1本を、真っ黒な繊維でコーティングしていく。


長さも濃さも、3割増し。

付け睫毛でも、付けているみたいだ。



慣れないことは、するもんじゃない。

鏡の前でマスカラと格闘していたせいで、肩が異様に凝った気がする。


仕事を終えて、ただメイクを直しただけなのに。


女子力は、やっぱりまだ不足気味らしい。



「よーし、飲み会に出発!」


威勢良く独り言を言ってから、トイレのドアを開け放つ。

勢いもそのままに、私は勇んで会社を後にした。






上条さんの歓迎会の会場。

それは、会社近くの居酒屋。


集まるならば、会社の近くが1番集まりやすい。

だから、いつも大体同じ店で飲むのが、企画部の暗黙の了解。



『御両』という名の居酒屋が、うちの宴会部長のお気に入り。


和風テイストで纏められた店内に、本格的な料理。

揃えられた、日本酒の数々。

もちろん、ビールや洋酒も一通り置いてある。


ビルの2階にあるその店は、入った途端に別の世界に迷い込んだ気分にさせてくれるのだ。



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