社内恋愛のススメ



俺を見て。

あの男じゃなくて、俺だけを見て。


もっと、俺を意識して。

もっともっと、俺に夢中になれって。



他の男なんか、目に入らないくらいに。

上条さんのことなんか、忘れてしまうくらいに。


有沢。

なあ、有沢。


俺のことを見て。

お願いだから。



結果は、俺の粘り勝ち。







「他の人のこと、好きとか言っちゃダメだよ………。本当に好きな人にだけ、そういうことを言ってあげなくちゃ………ダメ………なんだ………よ………!」


有沢、お前は勘違いしてたんだな。

俺の好きな女、結婚したい女が別の誰かだと思ってたんだな。


同情なんかする訳ない。

同情で好きだと言ったんじゃないんだ。



俺は、ずっとお前のことが好きだった。

お前が俺を意識するよりもずっと前から、お前のことだけを見ていた。



「ど、同情とか、いらない………。」

「誰が、そんなこと言った?」

「同情なんかで、上司に逆らってまで助けない。俺、そこまでいいヤツじゃないから………。」


お前じゃなかったら、こんなことを言わない。

お前だから、言うんだ。


勘違いするなよ。



「俺が結婚したいのは、お前。俺が好きなのは、お前。俺、有沢のことが………好きなんだよ。」


給湯室での、一世一代の告白。


こんな言葉じゃ足りない。

全然足りない。



だけど、有沢は受け入れてくれた。

こんな俺を受け入れてくれたんだ。


その夜、初めて有沢を抱いた。



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