社内恋愛のススメ
『彼の決意』
side・長友





幸せだった。

何もかもが輝いて見えて、それだけで小さな幸せを感じることが出来た。



ずっと好きだった有沢。

好きな女が、隣にいる。


そのこと自体は、以前と変わらないのに。



好きな女が隣にいてくれて、自分のことを好きでいてくれる。

ずっとずっと好きだった有沢が、俺の彼女として隣にいてくれる。


奇跡みたいだと思った。



俺の想いは届かないのだと、諦めていたから。

心のどこかで、そう思っていたから。



仕事の時間だけじゃない。

プライベートな時間まで独占出来る、その権利。


俺が喉から手が出るほど、欲しかったもの。








「んー、………眠い………。」


夜明け前。

部屋が暗いうちに目を覚まして、横を見た。


そこにいるのは、ぐっすりと眠る俺の彼女。

愛してやまない、俺の大切な人。



眉毛ないし。

スッピンだし。


すべすべの肌を、そっと手の甲で撫で上げる。



(寝顔、幼いなー………。)


会社でキリッとして、気を張ってる有沢も好きだけど。

無防備なこの寝顔は、それよりもグッと来るものがある。



可愛いな。

口を開けば憎まれ口ばかりだけど、そんな部分も可愛らしいと思う。


重症じゃん、俺。

どれだけ、コイツのこと、好きなんだよ?



俺のベッドでぐっすり眠る有沢の唇に、自分の唇を重ね合わせた。



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