社内恋愛のススメ



「ありがとうございます!そんな言葉まで頂けて、私………ほんとに嬉しいです。」


感激のあまり、涙が滲む。


仕事に打ち込んできたのは、上条さんだけの為ではない。

自分の為でもある。



そんな自分を見ていてくれた人がいる。

認めてくれる人がいる。


そのことが、こんなに嬉しいとは思わなかった。



涙を隠す為に俯いて、窓に張り付く私。


上条さんはそんな私に対して、深く追求することもなくて。

私にこの素晴らしい景色を見せる為だけに、海沿いの道を延々と車で走り続けてくれた。






それからの時間は、本当にあっという間で。


ドライブを楽しんだ後は、ちょっと美味しいフレンチを食べに行って。

少しの間だけ、砂浜に降りて海辺を散歩して。


                  
恋人同士が過ごす様な時間。

濃密で、甘い。


そんな時間を、2人で過ごした。



会社での2人からは、想像出来ない。

一緒に仕事をしている時には、絶対に味わうことのない時間。


メガネをかけて。

スーツを着て。

いつもキリッとしていて、無表情で仕事を淡々とこなす上条さん。


そんな上条さんが、笑ってる。

今は、今だけは私の前で笑っていてくれる。



ドキン。

ドキン、ドキン。


一緒にいる間は、鼓動が速くなりっぱなし。

心臓が速く動き過ぎて、壊れてしまうんじゃないかって思った。



バカみたいかもしれないけれど。

本気でそう思ったんだ。



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