彼女のすべてを知らないけれど
「その顔は、信じてないなー?」
然は意地悪な顔でこっちを見てくる。
「うん、悪いけど、正直、ピンとこない。俺、そういう系の話、信じない方でさ……」
こんなことを言ったら然は気を悪くするのではないかと思ったが、その逆で、彼は、 自信に満ちた笑みを浮かべてこう言った。
「願いが叶うのは一回限りだ。よーく考えて。
信じなくてもいい、そのうち分かるから 」
「う、うん……」
これを渡すために俺を家に招いてくれただなんて、最初は考えもしなかった。
然の神社を出て、俺はひとり、帰り道を歩いた。バッグの中から、もらったお守りを取り出す。
「願いが叶う、かー」
ほんとっぽくしゃべってたけど、絶対嘘だと思った。然の発言全部。