16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
ほっと息を吐いて、私はアパートを目指して歩き出した。

やっぱり行かなくてよかったよ。

だって、今回もまた薬が増えた。

先生は言わないけど、確実に死は近付いてきてる……――。



門を曲がれば家だ、と言うところで背後に気配を感じた。

まさか、ね。

まだ夕方だし、人通りも少なくない。

思い込みに決まってるよ、思い込みに――

そう思いながらも、私の歩幅は自然と広く速度は速くなってゆく。

アパートの前まで着いたとき、私の瞳は背後に立つ人物を捉えてしまった。



「よ」

「……っ、名良橋く……っ」

「へぇ、お前んちここなんだ?今病院帰り?その後の用事は?終えてきたようには見えないけど」





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