16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
名良橋君のように、私を真っ直ぐに見つめる高野君。

バレた――それも、自滅。

投げられたボールをどうしていいかわからず、俯く。



「今日の昼も、部活の話題になったら名良橋が話変な方向に逸らしたろ?なんでそんなに必死にバスケしてたことを隠そうとすんの?」



どうしようどうしよう――どうしよう。

隠し通せる自信がない。

一体、どうしたら。



「別に無理に話せとは言わないけど。待つ場所聞いたとき、早坂さんの表情一瞬曇ったじゃん。客席にいるときも、切なげだったし」

「……っ」

「名良橋に言えない何かがあるなら、俺聞くけど」



堰が、切れた。

本当は誰かに言ってしまいたくて。

事実を受け止めるには、まだ私は幼すぎて。





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