アウト オブ ザ ブルー

結局、夕飯は大通りにある割烹料理店で食べることにした。



そこは卓くんが働いている店で、私は前から1度入ってみたいと思っていた。




卓くんはてっきり厨房にいて客席には姿を見せないだろうと思っていたが、


食事が済みレジで会計を頼んだときに、白い服に白い帽子をかぶった卓くんがたまたま奥から出てきて対応してくれた。



彼とも一時気まずかった記憶がよみがえりあせったが、


卓くんはそんな過去さえなかったかのように、「退院されたんですか。よかったですね」と笑ってくれた。


相変わらずさわやかな笑顔だった。




私が「ご心配をおかけしました」と頭を下げると、


彼も同じように「みちるさん、今度こそうちに戻って来てください」と頭を下げた。



卓くんがあまりにも真面目な顔でそう言うので、


「そういえば最近マサと連絡が取れないんだけど、彼、どうかしたのかな?」


とたずねると、


「ここじゃちょっと言えないんですけど…、優、今ちょっと大変なんで、みちるさんに支えてもらえると助かるんですけど…」


と言われた。
< 165 / 417 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop