アウト オブ ザ ブルー

残念ながら、3月半ばになってもマサのところに内定通知はこなかった。



代わりに教育委員会から電話があって、自宅から通える高校で常勤講師をしないかという話がきた。


マサはちょうど求人情報誌を読みあさっていたところで、ふたつ返事でそれを引き受けた。



電話を切った後、彼は私のところに飛んで来て、「とりあえず1年教壇に立てることになったぞ」と喜びの表情を見せた。


そしてそれをきっかけに、マサは急速に以前のような落ち着きを取り戻していった。



私の気持ちは沈んだままだったが、マサが元気になってくれたのは喜ばしいことだった。








気がつけば、私の方は既に妊娠9ヶ月に入ろうとしていた。


相変わらずお腹の張りが気になっていたので、月に2回の検診時に医師から張り止めの薬を処方してもらい、それでなんとか痛みを凌いでいた。
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