§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

「ビックリしたーっ

あなた、確か…」


「柚奈です。酒井柚奈

小嶺咲和さん
あなたを待っていました

少しお時間いただけませんか?」


「え?! これから?」

コクリと頷いた彼女。


ちょっと待って、
彼女、私の名前フルネームで呼んだよね…

なんで…
あ、そうか、彼女、ナースだもんね
カルテ見たのかも…


少し考えて
自分の腕時計を見れば
23時を回ろうとしている


正直、疲れているから
もう、どこにも行きたくない


「ゴメンね
私、やらなきゃいけないこともあるし
明日早いから…」


だけど、彼女も食い下がらないようで


「少しの時間で構いません
あそこに私の車があるので
車の中でお願いできませんか?」


彼女が指差す方を見れば
白いスポーツタイプの外車が
停まっていた


あー
あれって、最新モデルの外車よねー
まだ若いのによく買えたわねー


あんな車の密室なんて
ちょっとイヤだな

知り合いじゃないんだし
さすがの私もムリだわ


「ホント、ごめんなさい
ムリなの

もし、聞きたいことがあるなら…」


「なによ! こっちが頭下げて頼んでるのに!
頑固なオバサンね!」


え?! いつ頭下げた?アンタ!?


「なんで、こんな人が直くんのカノジョなのよ!
信じらんないっ!」


カノジョ、って…

信じらんない、って…

違うんだけどー

勝手に想像して、勝手に怒んないでほしいわー


「なにシカトしてんのよ!オバサン!
話があるんだから、来なさっ…」


興奮した彼女が私の手首を掴もうとした時、


私の横から腕が伸びてきて
彼女の腕を掴んだ


あ…


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