2ndアルバム〜あの日の鼻歌〜
「莉子、その傷どうしたの?
それ、その手首の」






昼休み、

彼女の視線を折って視線を落とすと、昨日出来た新しい切り傷が目に入った。










「近所の猫をさぁ、抱っこしようとしたら機嫌悪かったみたいで…」




私はさも落ち込んだ風に肩を落とす。
この手の嘘には慣れていた。





「ふーん、なんかリスカみたいでやばいよね」

「そーなの!
私もちょっと困っちゃって…
私そんなデリケートじゃないのにぃ」



迷惑そうに言った私の言葉に香奈子は笑う。

あながち、嘘ってわけではない。








一般で言われるリスカ、リストカットなんかはやっている人が生きる事と自殺との間をふらふらしているような状態を表すようにする行為だと思う。


まぁ、リスト(手首)をカットしていることには変わりはないのだけれど。



私は別に生きる事に殊更苦痛を感じているわけではないしそんなことで自身の弱さを周りに見せ付けたいわけでもない。









言い訳、なんだろうか…















「ねぇ莉子っ
今度うちの近所で秋祭りやるの!
泊まりで来ない?」



考え事をしているうちに香奈子にお弁当のから揚げを取られた。
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