密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 そんな疑問を小さな脳裏に浮かべながら故郷の冷えきった日本海を見ている。

 ここへ来ると親戚や知人から

「まだ結婚してないの?」

「早く結婚しなさいよ」

「麻子ちゃん、お父さんとお母さんに孫の顔見せてあげなさい」

 こんな言葉ばかりが狙いを定めた猟銃のように私の子宮に命中する。

 私は一人っ子だから、私が子供を産まないと両親に孫の顔を見せてあげられない。人に言われなくてもよくわかってる。申し訳ないと泣きたいくらい、よくわかってる……。

 悪い事はしていないけど、のし掛かる罪の意識。



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