密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
「じゃ、そこのコンビニでなにか買って食べる?」
「鮫島先輩、それ本気じゃないですよね?」
「えっ、そうよ、冗談に決まってるでしょ。ここから徒歩十五分圏内ならどこでもいいわよ」
私が本気で言ったコンビニをスルーした吉沢くん。
コンビニのお弁当だってガッツリ系を選べば最高のエネルギー源になる。やたらなお店に入るより安心して食べられる味は魅力的だ。
吉沢くんは行きたいお店までのルートが頭に入っているらしくズンズン直進。
はいはい、着いて行けばいいんでしょ。わかりましたよ……。
頼りなくて若いその背中を追うように歩く。
ああ、この先にあるカレー屋ね。
トッピングもできるし、安くて早くておいしいから私も好きよ。と思っていたら、吉沢くんはそのカレー屋の前をスルー。
大通りに出て信号を渡り右折した。
なるほど。すぐそこの牛丼屋ね。
スタミナ牛丼が甘辛でおいしいのよね。若い男の子が選びそうなお店、と思いきやまたまたスルー。見向きもしなかった。