密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~

 夜は亮が帰ってくるまで、図書館で借りた本を読んで過ごした。

 久しぶりの読書。知識をひけらかす必要のない至福の時。

 文庫本一冊を五日で読み終える、それくらいがちょうどよかった。

 本は私を色々な世界へ連れていってくれる。知らないものを沢山見せてくれる。

 亮は活字が苦手な人。でも、図鑑が好きで、小学生の頃、図書館で一冊の図鑑を一緒に見ていた。

 昆虫の図鑑、鳥の図鑑、宇宙の図鑑、植物の図鑑、海の生き物図鑑。

 特に、星の図鑑と宝石の図鑑が私と亮のお気に入りだった。
 
 お年玉で亮は星の図鑑を。私は宝石の図鑑を買って、見せ合った。

 今はその二冊がこの家の本棚に隣同士で並んでいる。




< 231 / 304 >

この作品をシェア

pagetop