Love the love.


 へえええええええー!!

 思わず叫びそうになって手で口を押さえた。ぐっと少しだけ音が漏れてしまう。

 ・・・滝本さんに、そんな人が!!

『驚いたみたいだな』

 まだ楽しそうな声で滝本さんが言う。俺は急いでいえいえ!と返した。

「あの・・・それは、羨ましいです」

 本音だ。必要って、大事ってことだろ?空気とか、そんなレベルで。そんな大事な人がいて、一緒に居てくれてるのなら素晴らしい。俺は非常にその立場が羨ましい。

 うん、と声が聞こえた。滝本さんの背後のざわめきが少なくなっている。どこかの建物に入ったのかもしれない。

『私には彼女が必要だ、それが自分で判ってる。だけども、それだけが一番ではない。築き上げてきたもの、つまり・・・この仕事なんかと、彼女を比べることは出来ない』

「・・・はあ」

『別物だ。だから、どっちも手に入れた』

 ・・・簡単に言うなあ~・・・。俺はしばしぽかんと口を開けていた。

 くくくく・・・とまた小さく笑い声が聞こえた。そして滝本さんは笑いの余韻を残した声で言う。

『すまないが、仕事が待っているんだ。神谷君、また。電話をくれてありがとう』

「あ、はい、すみません、忙しい時に・・・」

 では、と柔らかく言って、滝本さんは電話を切る。


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