炭酸アンチヒーロー番外編
「……足りないな」

「へ?」

「せっかく、めずらしくまおからキスをねだってきたわけだし……俺としては、早くあっちの方に行きたいんだけど」



にやりと意地悪な笑みを浮かべ、あっち、と彼が指さすのは、言わずもがな寝室へ続くドアで。

もう、と怒ったように呟きながら、それでも赤くなってしまっているであろう顔を隠すために、またくるりと身体を窓の方へと向けた。

今度は彼が声に出して笑って、私を後ろから抱きすくめる。



「はは、怒んなよ。……メリークリスマス?」

「……メリークリスマス」



耳元にかかる吐息と低い声は、まるで魔法みたいに私の心をやさしく溶かしていく。

窓の外にちらつく雪を眺めながら、また来年のクリスマスもこんなふうに彼と過ごせたら、なんて、小さく願った。







君と雪に願うこと
(あの頃と変わらない笑顔も、確かにここにある)




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4~5年後のふたりのイメージです。他サイトにて本編連載中、クリスマス限定でメルマガ配信しました^^


2013/06/21
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