炭酸アンチヒーロー番外編
しばらく、眠ったままの彼女の髪を撫でていると。



「……ん、ん……?」



自分に触れる何かの存在に気づいたのか、小さなうなり声をもらしながらゆっくりまおがまぶたを開けた。

ぽやぽやと意識が定まっていない様子で、「ヒロくん?」とその唇が動く。

俺は宥めるように、顔にかかっていた彼女の横髪を耳にかけてやった。



「わり、起こしたか?」

「んー……ううん、大丈夫」



言って、彼女はまたうっとりと目を閉じる。

そして未だ髪の上を行き来する俺の手に、小さな手が重なった。

思わず、それ以上の動きを止める。



「寝ながらね、なんか、気持ちいいなって思ってたら……ヒロくんの、手のひらの感触だったんだぁ」

「………」



緩く掴んだ俺の手に頬を寄せて、ふわ、と彼女が笑みを浮かべた。



「……私、ヒロくんの手、だいすき」
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