炭酸アンチヒーロー番外編
ぴたりと、彼女の小さな手のひらと、俺の固い手のひらが合わさった。



「……ね。こうやって手のひらを合わせただけでも、こんなに私とヒロくんの手は違うんだよね」



言いながら、まおは俺の右手を、何か愛しいものでも見るような眼差しでそっと撫でる。



「ずーっと何年も、野球をがんばってる手で。私の頭を、撫でてくれたりもして」

「………」

「あったかくて、おっきくて、力強くて、でもやさしくて、」



──すきだなぁって、思うの。




「……やられた……」



再びすぅすぅと小さな寝息をたて始めた彼女を見下ろしながら、俺は呆然を呟く。

……今の自分、絶対顔が赤いに違いない。

無意識に口元を隠すように右手をあてつつ、ふぅっと息を吐いて。

起きたら覚えてろよ、なんて物騒なことを考えながら、彼女の頬を指でつついた。







てのひらくらべ
(本当はいつだって、主導権は彼女が握ってるんだ)




‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
クリスマスSSがなかなか好評だった、未来版炭酸アンチヒーロー。
今回は前ほど遠くはない未来をイメージしました^^


2013/06/28
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