コイゴコロ



「あのーおはようございまーす…?」




自分の席に座る人に恐る恐る声を掛ける。


なんとも、間抜けな光景だろう。



私の細い声を聞き取って、私の席に座ってる人物が本から顔を上げて私を見据える。

ちらっと見た本の中身は、マンガではなく字がびっしり書かれた本だった。




「おはよう有紗。待ってる間有紗の心理を少しでも知ろうと思って読んでたんだけど、なかなか有紗の思考は難しいね。
内容は興味深いけど」




「いや…昨日私、巧みな言葉と顔で優君に騙されそうになったよね。
そこのところ気まずくないのかい?」



誰かに私の席を聞いて座って待ってたらしい『学園一の王子』優君。




「どうも俺と有紗で話がかみ合わないんだよね。
有紗は色々な事を膨大に勘違いしてる。まず俺は有紗を騙そうなんて思ってないし」




優君はそういうと本を閉じて机に置き、立ち上がった。

今まで見下ろしてた体制から、一気に見上げる体制になったので、
首が吊りそうだ。




「多分、有紗は俺の事まだよく知らないし、俺の事信じてくれてないから、独自の判断をして勘違いしているんだと思う。
だから、俺は有紗に信じてもらえるように…有紗に付き纏う事にしたから」



「はい?」



「信じてもらえない内に、有紗に男ができるのも嫌だから…変な男が付かないようにけん制も兼ねてね」




何かを吹っ切ったようにニコッと笑う優君。



その言葉と顔に、教室内に居た女子は皆歓声を上げた。















なんてこった………





少女マンガに出てくるイケメンには裏があったから、
イケメンである城山優には近づきたくないと思った。

上手い話に裏があるだろうと、優君本人の言葉を疑って信じなかった。

上手い防御をしていると思っていた。




しかしそれがいけなかったのだろうか…


それともこれは運命なのだろうか…






私は結果的に、パーカーを借りたイケメンと、
深く関わることになったらしい。










 
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