裏面ワールドトリップ
国王一家に丁寧に礼を言われ、自分のTシャツとジーンズに着替え、ウイスキーの瓶を携えてローゼさんの家へ。



――こちらの世界とも、これでお別れか。



ローゼさんの勘違いに導かれてやって来た、この〈裏側の世界〉。


色々あったけど、帰るとなると何だか寂しくなる。



しかし寂しがってばかりもいられない。


元の世界へ着いたらまた

徒労感と虚しさにまみれた、いつ終わるとも知れない就職活動の日々が待っているのだから。


それを思うと、胃の辺りがずしりと重くなった。



暗い気持ちでローゼさんの家のドアをノックする。


「どうぞ」と、中から声が掛かる。
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