裏面ワールドトリップ
分厚い木のドアを引き開けると、そこにいたのはローゼさん1人だけではなかった。



上着を脱いで、背もたれの無い椅子に掛けているのは――


「ハウスドルフさん」


鍛え上げられた浅黒い胴体から、ローゼさんが包帯を巻き取っている。


木のテーブルには、薬瓶と思われる大きな入れ物が2つ、それに新品の包帯が、並んで置かれていた。


「よぉ」


そして、片手を上げて挨拶するハウスドルフさんの傍らに立つ、簡素なワンピースを着て赤ちゃんを抱いた、若い女性。


「あ……どうも」


私と彼女は、お互いに会釈をした。
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